合唱団コルス・フローレス
第16回定期演奏会 プログラムノート
第1部 無伴奏宗教曲
Regina Coeli
イタリアの作曲者ブオナウグーリオは、作曲家であると同時に僧でもあったためか、その作品は敬虔な宗教心にあふれています。
この「Regina Coeli(天の王女)」の深さは格別です。
Ave Maria
バッハの『平均律クラヴィーア曲集』第1巻第1曲の前奏曲(ピアノパート)に、美しい旋律をかぶせたこの曲は「グノーのアヴェ・マリア」と称されています。
歌詞はカトリック教会の祈祷文です。
Zum Abendsegen
2009年、今年はメンデルスゾーン生誕200年記念の年であります。
メンデルスゾーンの業績は作曲の他に、当時すでに忘れ去られていたJ・S・バッハの楽譜を発掘し、その価値を広く知らしめた点が挙げられます。
この曲はバッハのフーガ技法に影響を受けた宗教合唱曲になっています。
第2部 混声合唱とピアノのための組曲「雨ニモマケズ」
宮澤賢治は明治29年、名家宮沢一族の長男として岩手県花巻に生まれました。
盛岡高等農林学校を卒業後、家出して上京し、「一か月に三千枚」もの勢いで童話創作に費やしました。
その後岩手県花巻農学校にて、大正11年から4年間教師生活を送ります。
当時の教え子たちが「少年の私たちを自由の天地に解放し地質、天体、宇宙などの大自然の科学に、いつとはなしに興味をもつような講義はどんなに私たちを喜ばせたか」と振り返るほどに生徒に慕われていました。
しかし自ら「本当の百姓」になるという大きな決意を胸に、30歳で教師の職を辞します。
当時昭和初期の花巻地方において、天候不順による稲作の不良と農民たちの貧しい生活に心を痛め、『羅須地人協会』をつくって農民運動をしたのです。
『告別』は心象スケッチ(詩集)『春と修羅』第二集の巻末の作品(作品番号384番)であり、退職する年の10月に書かれています。
今回演奏する作品は(一)と(二)に分かれていますが、原文は一連の詩です。
“よくきいてくれ”とは、教え子に向けた言葉であるかもしれません。
しかし、転職後の自らの生活への決意とも読み取れるように思うのです。
作曲者の千原英喜氏は、“辛くてそしてかがやく天の仕事”−「音楽家として生きる試練と無上の幸福感」。“すべての才や力や材というものは、ひとにとどまるものでない”−「人の運命の哀しみ」に大きく頷き、心わななき、感涙の中に曲を書き進めたそうです。
賢治の「すきとほった ほんたうの たべもの」(物事の本質)を追究し続けた精神と、千原氏の透明感のある響きが相まって、私たち歌い手は“そらいっぱいの、光でできたパイプオルガン”(雲間から射す日光)の天空に広がる恍惚感へと高揚、飛翔していきます。
それから賢治は、結核により37歳の若さで亡くなる数日前まで、農民のために献身的に奉仕生活をしました。
『雨ニモマケズ』は晩年に使用した手帳に書きつけられた言葉の群であり、彼の死後遺品のトランクから弟の手で発掘された作品です。
賢治は熱心な法華経の信者であったことから、この『雨ニモマケズ』は作詩などと考えないで、自分の理想や観念をメモに書いたものである、とも言われています。
この詩の内容は、成し遂げられない希望(自身の健康)への悲願と、自戒の言葉との二つの組み合わせから成っています。
「曲は今を生きる皆への応援歌、命の賛歌だ。」(千原英喜氏)
第3部 混声合唱のための「宮崎 駿 アニメ映画音楽集」第2集
おなじみ宮崎駿アニメ映画音楽の中から、信長貴富氏がとくによく知られ人気の高いものを集め、合唱にアレンジしたのがこの曲集で、メドレー形式になっています。
「さんぽ」は『となりのトトロ』の主題歌。マーチ調の歌を盛り上げるように打楽器が登場します。
『千と千尋の神隠し』の主題歌である「いつも何度でも」では素朴な旋律が静かに歌われます。
「めぐる季節」は『魔女の宅急便』のBGMで、後に歌詞が付けられましたが、今回は歌詞無しで楽器演奏風のアレンジに仕立ててあります。
「やさしさに包まれたなら」は、もとは荒井由実のCDに収録されていた曲で、『魔女の宅急便』の挿入歌になりました。軽快さの中に切なさをにじませたような素敵なうたです。
第4部 ヴェルディ オペラ音楽特集
○ 『リゴレット』より「女心の歌」
『リゴレット』はヴェルディがオペラ作曲家として国際的な名声を得るきっかけになった作品。
16世紀イタリアの華やかなサロンで、女とみれば手を出さずにいられない公爵が、ご機嫌な様子で歌います。
テノール山田精一さんに歌っていただきます。
○ 『ナブッコ』より「行け、わが想いよ、黄金の翼にのって」
旧約聖書の物語。第3幕、囚われたヘブライ人たちが故郷を思って歌うこの合唱曲は、初演から聴衆の深い共感をよび、管弦楽団員を含む劇場の全員によりアンコールされ、以来イタリアの第二の国家のように愛唱されています。
○ 『椿姫』より「乾杯の歌」
コルス・フローレスは2年前にこのオペラの公演に参加し、「定期演奏会でオペラ特集をやりたい」と思うきっかけとなりました。
舞台はパリで一番人気の高級娼婦ヴィオレッタのサロン。
ヴィオレッタに恋い焦がれるアルフレードは、ワインを片手にサロンの客(合唱団)と一緒にこの曲を歌います。
ヴィオレッタ役にソプラノ日隅典子さんをお迎えします。
○ 『椿姫』より「ああ、そは彼の人か〜花から花へ」
ヴィオレッタはアルフレードの純真な愛に心惹かれます。
客たちが帰ったあと彼女は、これが待ち望んでいた恋かもしれない、と胸をときめかせますが、次の瞬間には、「花から花へ」と飛び回って快楽にひたるのよ、とその想いを打ち消します。
○ 『イル・トロヴァトーレ』より「アンヴィル・コーラス」
ストーリーは最後に次々と主役が死を迎えるほか、呪い、復讐、処刑など、凄惨極まりありません。
これほど暗い話ながらヴェルディが作曲した音楽は輝かしく躍動感に満ちていて、美しいメロディが次々と出てくる傑作中の傑作となっています。
第2幕、ジプシーたちの歌。
○ 『アイーダ』より「清きアイーダ」
スエズ運河開通を祝ってエジプトのカイロに歌劇場が建てられ、そのこけら落としのオペラとして作曲、上演されてから今日まで、世界中で最も人気のあるオペラのひとつとなっています。
物語の冒頭、エジプト軍の総大将ラダメスが「奴隷のアイーダと結ばれたいのだ」と歌います。その後ラダメスは戦争に出かけていきます。
○ 『アイーダ』より「凱旋の場の合唱」
戦争で勝利したエジプト軍。輝かしい凱旋行進曲にのって数多くの戦利品が運ばれ、最後に凱旋将軍ラダメスが登場します。カブラリアンブラスの皆さんに、華々しい間奏曲を演奏していただきます。
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ソプラノ 日隅典子 テノール 山田精一 |
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カブラリアン・ブラス カブラリアン・ブラスは、富岡市民吹奏楽団のメンバーによる金管アンサンブルです。 甘楽・富岡地区を中心に様々なコンサートへの出演の他、ボランティアでの演奏活動にも積極的に取り組んでいます。 |
おまけリハ写真
これぞアイーダトランペット!この曲だけの楽器なんて、なんと贅沢な楽器なのでしょう。持つのが大変で、吹きにくいとおっしゃっていましたが、たってのリクエストで使っていただきました。本番は、さすがの集中力で素晴らしい劇的効果が生まれました!
コーロ・ポエットとの合同曲の練習中。一緒になると女声の響きが厚くなります。ママさんコーラスも良いですね。