合唱団コルス・フローレス
第12回定期演奏会 プログラムノート


第1部 モンテヴェルディ作品

 クラウディオ・モンテヴェルディ(1567-1643)はルネサンス音楽からバロック音楽への転換点に立つ音楽家です。
 彼は声楽の分野で多くの傑作を残し、オペラやマドリガーレ、そして宗教音楽の分野においても、その後の音楽に多大な影響を与えました。
 初期バロック音楽は、モンテヴェルディによって切り開かれ、その方向を決定づけられたと言っても決して過言ではないでしょう。

「Ecco mormorar l’onde 波はささやき」
 タッソの詩に作曲され、伝統的なマドリガル手法を用いながらもモンテヴェルディの天才を感じさせる傑作。
 音楽は詩の表現をそのままに映し出し、まさしく音による絵画が描きあげられています。

「Lamento D’Arianna アリアンナの嘆き」
 オペラ「アリアンナ」の楽譜は「アリアンナの嘆き」のアリア以外は消失しています。
 クレタ島の王ミノスの娘アリアンナが愛する人に置き去りにされた時の歌で、初演当時の聴衆である貴婦人達の涙をさそいました。
 今回は、その中から声楽の初学者の入門曲集としても知られる「イタリア古典歌曲集」に取りあげられている「Lasciatemi morire」と「O Teseo」をお送りします。



第2部 混声合唱組曲「真南風(まふぇー)の祈り」―沖縄古謡による― 

 沖縄の民謡などをモチーフにした合唱曲です。
 沖縄古謡をふんだんにテキストに用いて、沖縄の人たちの中に息づく神々への祈りを表現しています。

 沖縄民謡の特質を表すものは、琉球音階と囃子です。
 この音階は日本本土の民謡にはなく、むしろ中国・雲南省の民謡やインドネシアのガムラン音楽との類似性が指摘されています。
 また囃子は、単なる掛け声ではなく、歌唱部の非言語部分で重要な情感を表しています。

 真南風(まふぇー)は、沖縄の言葉で南風、または南を意味します。
 沖縄はまさしく、風と水の島です。時には過酷な乾きを、またある時には豊かな湿潤が行き交う沖縄で、人々は自然の移ろいに自分の命を託しながら生きてきました。
 その思い、祈りを表現できればと思います。


第3部 混声合唱組曲「光る刻(とき)」 

 この組曲は、「動物の孤独と死」「動物の生命の輝き」をテーマとした4曲で構成されており、1曲ごとにそれぞれ異なる詩人のテキストを用いています。
 その結果、テーマが統一されているにもかかわらず、詩人によって実にさまざまな変化に富んだ内容になっており、それらを組曲として並べて聞くことで、面白さがより際立っています。

 「老いたきつね」は、死を迎えようとする老狐の静かな境地を描き出しています。
 「もぐら」は、言葉遊びの要素の強い、コミカルで明るい詩ですが、一生、暗闇の中で黙々と穴を掘り続けるもぐらに、深い孤独を見ることもできます。
 「鹿」は、猟師に額を狙われている鹿の、最期の時を描いています。
 そして終曲は、死期を悟って、誰も知らない墓場へと自らの骨を埋めにいく「象」。

 濁りなく光る生の瞬間の美しさが、死を背景として一段と際立つ。そんな情景を感じとっていただけたらと思います。


第4部 合同合唱「唱歌の四季」

 唱歌の四季とは、四季の歌を拠り集めた組曲で、朧月夜(春)、茶摘(夏)、紅葉(秋)、雪(冬)、夕焼小焼の5曲より構成されています。
 日本を代表する音楽家、三善晃さんによる編曲ですから、聞き応えは十分!

 「唱歌」(旧制小学校の音楽の教科書に掲載されていた曲やそれに類するもの)は、優れたもの、芸術性の高いもの、美しいものなど、名曲が多いのは良く知られています。
 これらの曲はいわゆる古謡や民謡とは別の種類のもので、多くは明治期に西洋音楽が入って来てから、西洋の音楽書法に乗っ取って作曲されたものばかりです。
 しかし、単なる西洋音楽の模倣ではなく、日本語のイントネーションと、日本人的感性、言葉の叙情性を大切にしながら作られたものだとも言えるでしょう。

 安中市少年少女合唱団とコルス・フローレスが醸し出す、子供と大人の声のハーモニーをお楽しみください。


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