合唱団コルス・フローレス
第7回定期演奏会 プログラムノート

第1部 「中世・ルネサンスの宗教曲」
グレゴリオ聖歌「キリエ」
 グレゴリオ聖歌は、ローマカトリック教会の伝統的な単声の聖歌である。その名前は聖歌の整備に大きな功績があったとされる教皇グレゴリウス1世にちなんだものであり、現在でも新しく作曲されてもいる。最も広く行われているグレゴリオ聖歌の歌い方はソーレム唱法といわれるもので、アルシス(飛躍)とテーシス(休息)を基本とする。合唱の際に指揮者は、そのアルシスとテーシスを歌い手に指示することによって音楽を導き出すのである。

「ミサ・ブレヴィス」
 作曲者のパレストリーナは、本名は「ジョバンニ・ピエルルイージ」といい、パレストリーナとは彼が生まれたイタリア、ローマ近郊の村の名前である。
 彼は、約70年の生涯をサンピエトロ大聖堂ジュリア礼拝堂や聖マリア大聖堂等の専属音楽家として過ごし、その生涯に900曲以上の作品を残した。中でも、教会の儀式に用いられるミサ曲は、105曲に及んでおり、彼の作品の中でも重要な位置を占めている。
 この「ミサ・ブレヴィス」は「小さなミサ」という名前であるが、その名が示すように全体的に見て割合にに短めな曲であり、1570年に公表されている。
 「KIRIE」は「あわれみの賛歌」、「GLORIA」は「栄光の賛歌」、「SANCTUS(BENEDICTUS)」は「感謝の賛歌」、「AGNUS DEI」は、「平和の賛歌」の意味であり、本来は、その他に「CREDO(信仰宣言)」が含まれて、ミサ通常文と呼ばれ、ミサ曲の基本的な形式である。
 この作品は、教会における儀式に用いられる以外に、今日でも演奏される機会が多いが、その理由としては、各パートの旋律が美しく声楽曲としての理想的な形になっていること、歌いやすいが決して単調でも平板でもなく深い宗教性と気品を持っていること、歌詞と旋律との結ぴ付きが自然で明快であり聴き手にもわかりやすいことなどがあげられる。
 「アヴェ・マリア」はキリスト教の最も代表的な讃歌で、聖母マリアヘの天使の祝いの言葉である。細かい部分では若干の違いはあるがおおむね決まった歌詞となっている。古来様々な作曲家が多くの名曲を生み出してきた。

第2部 ポピュラー音楽の楽しみ
「ドイツ・オーストリアの旅へ」
「かりゅうどの合唱」
 狩人の合唱というとウエーパーの歌劇「魔弾の射手」の合唱が有名であるが、この曲はそのイメージの元になっているのではないかと思われるドイツ民謡である。弾むように軽快なリズムによるメロディーの中に、狩人たちの歌声やかけ声が響いてくる。

「ローレライ」
 ジルヒャーの作曲によるあまりにも有名な歌曲であり、誰しもが口ずさんだ経験があるだろう。ローレライの岩はライン河畔にある。ハイネはその伝説を元に詩を書き、この曲の歌詞にもなっている。日本語訳は近藤朔風。本日の演奏の中では、一部分をドイツ語の原詩で歌う。

「野ばら」
 ゲーテの詩によるこの作品の訳詞(近藤朔風)もまた、知らぬ者もないのでははなかろうか。シューベルトは1815年、18歳の年に「魔王」などと共に歌曲としてまとめあげた。それよりも14年後の1829年には、ウェルナーが同じ詩を題材に合唱曲としてまとめており、そのどちらもが、世界中で愛される曲になっている。本日演奏する編曲では、この2曲を巧みに組み合わせているところを楽しんでいただきたい。

「ウイーン我が夢の町」
 ウイーンに生まれ、一生をウイーンで過ごした生粋のウイーン子の作曲家ジーツィンスキーのヴィナーリート。彼のウイーンを愛する気持ちが歌詞の中にも満ちあふれている。甘い魅惑的なこのメロディーは多くの人に愛され、ミュージカルや映画の中でも使われている。ヴィナーワルツの響きが素敵な曲である。

「ディズニーの世界へ」
「ホール・ニュー・ワールド」
 ジャスミン姫を魔法のカーペットに乗せ、世界中を飛ぴ回るアラジンが歌うこの曲は、アラン・メンケンの会心のヒット作であり、アメリカのヒットチャートでは堂々の第1位を記録した作品である。今回は、ロマンチックなバラードをピアノのソロでお聞きいただきたい。

「いつか王子様が」
 白雪姫が小人たちにせがまれて歌うこのワルツは、純情でかわいらしい少女の心を実に見事に表している。フランク・チャーチルが作曲して以来すでに60年もの年月を経てもこの曲の魅力はいっこうに衰えることはない。すでに、スタンダードナンパーといってもよいのではないだろうか。今回のステージは、女声合唱でお送りする。

「ミッキー・マウス・マーチ」
 この軽快で陽気なマーチは、世界中で最も有名なタレントともいえるミッキー・マウスのテーマ音楽である。聴いているだけで心の浮き立つような作品は、ジミー・ドットの作曲である。

「狼なんか怖くない」
 この曲が生まれたのは1933年のこと。ウオルト・ディズニーがアニメーションの登場人物に主題歌を与えた記念すぺき初めての作品でもある。作曲は、フランク・チャーチル。今回の編曲で、「狼なんか怖くない」と歌うのは主にテノール、「狼だぞ」と歌うのはパスである。

「星に願いを」
 実はディズニーはこの曲で初めてアカデミー主題歌賞を受賞している。そして、TVシリーズの「ディズニーランド」でも主題歌として使用した。リー・ハーラインの魅力的な音楽は、子供の頃のときめきと温かな心を誰にも思い出させてくれる。

第3部 混声合唱とピアノのための「花に寄せて」
 今日お聞きいただく混声合唱以外にも、女声合唱や児童合唱でも取り上げられることも多く、合唱祭などでは必ずプログラムに名前の見えるこの作品は、それだけの魅力を秘めたものという証拠であろう。日本の合唱曲の中でも珠玉の作品ということができる。
 作曲者の新実徳英氏自身が語っているように、この曲は、それぞれの合唱団がそれぞれのレベルに応じて何かを見いだしながら歌うことができる曲である。それは、星野富弘氏の詩のなかにあるものを音楽が、絶妙に引き出しているのであろう。コルスも、この曲に取り組み始めてもうじき1年になる。でも、練習の中でまだまだ多くのことを音楽からくみ取らなければならないと考えるこのごろである。7つの曲に込めたコルスの心をお届けできるようにと願っている。詩は、詩画集「風の旅」からとられている。それぞれの花の絵を思い描きながら、聴いていただきたいと思う。


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